ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は5日、1次リーグA組の試合が豊田スタジアム(愛知県豊田市)であり、日本(世界8位)が38-19でサモア(同15位)を破って3連勝し、初の決勝トーナメント進出に大きく近づいた。
日本は、試合終了時間を迎えた後に4つ目のトライを奪い、ボーナスポイントも獲得。勝ち点を14に伸ばし、同11のアイルランドを抜いてA組1位となった。
13日のスコットランド戦に勝利するか、負けてもポイントで争いで2位までに入れば、宿願となっていた準々決勝進出を果たす。
一方、サモアは1次リーグ敗退が決まった。
ペナルティゴールの応酬
両チームにとって落とせない一戦は、ペナルティキックの応酬で進んだ。
先手を取ったのは日本。前半3分と8分に、SO田村優がペナルティゴールを立て続けに決め、6点をリードした。
これに対しサモアは、前半10分と15分、CTBヘンリー・タエフがペナルティゴールを連続して成功。すぐに同点に追いついた。
前半24分、田村が3つ目のペナルティゴールを成功させ、再びリード。田村はこの日、キックが安定していた。
待望のトライ
着実に点数を重ね、サモアにリードを許さない日本だったが、欲しいのはトライだった。
A組が日本、アイルランド、スコットランドの三つどもえになることを考えた場合、トライを4つ以上挙げ、ボーナスポイントを獲得することが大事だった。
その待望のトライが前半28分、ついに生まれた。
WTB松島幸太朗がスピードのある突進をみせ、倒されてもまた立ち上がってゴール手前まで前進。そこからパスをつなぎ、最後はサモア出身のCTBラファエレ ティモシーがゴール左側に飛び込んだ。
田村はコンバージョンキックに成功。その後、タエフがこの試合3つ目のペナルティゴールを決め、16-9で後半へと折り返した。
再びPG合戦に
後半も出だしはペナルティキックの蹴り合いになった。
後半5分、サモアのタエフがペナルティゴールを決め、4点差に詰め寄った。
するとその3分後には、日本にもペナルティゴールのチャンスが到来。ただ、田村が蹴ったボールはポストの右へ。スタジアム全体で一斉にため息がもれた。
しかし後半11分、再び訪れたペナルティゴールの機会を、今度は田村がきっちりと成功させた。
7点差に詰め寄られる
日本が2つ目のトライを決めたのは、後半14分だった。
ラインアウトからのモールでぐいぐい前進すると、最後はNO8姫野和樹がW杯初となるトライを挙げた。
日本に緊張が走ったのは、後半32分だ。サモアのタエフが見事なスピンを見せてトライを奪った。タエフはコンバージョンキックも決め、7点差に迫った。
試合は残り7分。1トライとコンバージョンゴールで追いつかれる点差だった。
試合終了の鐘の後に
逃げ切ってほしいと願うファンの心配をよそに、日本は守りに入ることなく、攻めの姿勢を貫いた。
後半35分、日本はパスで右サイドに展開。最後は交代出場の福岡堅樹がゴールに駆け込んだ。
これでトライは3つ目。ここに来て、ボーナスポイントへの期待がぐっと高まった。しかし試合時間はほとんどなかった。
残り1分、日本はラインアウトからモールで押したが、反則を取られ、サモアボールのスクラムに。ここで試合終了の鐘が鳴った。ボーナスポイントの望みはついえたかに思えた。
ところが、サモアが反則を犯し、日本ボールのスクラムに変わった。日本はスクラムから出たボールを左に回すと、パスは松島に。松島はディフェンスをかわし、ゴールに飛び込んだ。
4つ目のトライ。実に劇的なボーナスポイント獲得だった。
「決してあきらめなかった」
日本のジェイミー・ジョセフ監督は試合後、「本当にこのチームが誇らしい。特に最後は、決してあきらめない態度を貫いた」と選手たちをたたえた。
「チームは成長した。来週に向けて、必要なことだった。スコットランドは非常にいいチームだ。経験豊富で、予測不能な要素がたくさんある」と、監督は話した。