たばこ、聴力落ちるリスクも ニコチンが内耳に影響か

  喫煙は耳の聞こえにも悪い影響をもたらすらしいことが、約5万人を対象とした国立国際医療研究センター(東京都)などの調査でわかった。たばこの煙が音を聞き取る細胞にダメージを与えるらしい。禁煙すれば、聴力が落ちるリスクは下がることもわかった。 関東などに本社のある八つの企業に勤める20~64歳の男女5万195人について、喫煙状況を含む2008~10年の健診データを提供してもらい、その後に聴力低下が起きていないか、検査結果を16年春まで追跡した。この間に約3500人が高音域を、約1600人が低音域を聞き取りにくくなった。 年齢や高血圧、糖尿病の有無などを踏まえて分析すると、たばこの本数が多いほど聴力低下の傾向があり1日21本以上吸う人は吸わない人に比べて高音域で1・7倍、低音域で1・4倍だった。調査時に5年以上禁煙していた人では、聴力低下のリスクは吸わない人とほとんどかわらなかった。 ニコチンの毒性や血流の悪化などがもとで、内耳の細胞の働きが落ちると推定されている。普及が進む加熱式たばこもニコチンを含むため、内耳の細胞に影響して聴力低下のリスクを高めると予測される。 聴力は、年齢によっても高音域を中心に徐々に落ちる。研究チームの溝上哲也部長(疫学)は「昔はジャズ喫茶などでたばこを吸いつつ音楽を聴くのが一つのスタイルだったが、高音質の演奏を長く楽しむためにも、禁煙をすすめたい」と話す。中年期の聴力の低下は、認知症にかかるリスクを高めることも指摘されている。

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アルツハイマー病、治療薬は3年以内、ワクチンは10年以内に実用化の見込み

  <アルツハイマー病の症状を抑える薬は存在するが、病気そのものを治療する薬は今のところ存在しない。しかしまもなくこれが変わるかもしれない> 「人生を変える」薬が臨床試験最終段階に 世界で4680万人が認知症を抱えて暮らしていると言われている。英紙デイリーメールによると、英国では現在、85万人が認知症に苦しんでおり、うち3分の2がアルツハイマー病だという。2017年の英国での死亡原因で一番多かったのが、アルツハイマー病だった。 アルツハイマー病の症状を抑える薬は存在するが、病気そのものを治療する薬は今のところ存在しない。しかしまもなくこれが変わるかもしれないという。 英国の慈善研究機関アルツハイマーズ・リサーチUKがこのほど、アルツハイマー病の治療薬は3年以内、ワクチンは10年以内に入手可能になるだろうとの見解を明らかにしたのだ。 デイリーメールによると、アルツハイマーズ・リサーチUKの最高科学責任者デイビッド・レイノルズ博士は記者会見で、アルツハイマー病向けの薬12種類が現在、臨床試験の最終段階にあると説明。2021年までにはこれら「人生を変えるほどの薬」の全てにおいて、臨床試験が終了する見込みだと話した。英紙テレグラフはこれら12種類の薬が、アルツハイマー病の進行を止めたり、緩めたり、病気そのものを治したりするものだと説明している。 ワクチンでアルツハイマー病の70%が予防できる可能性 今回アルツハイマーズ・リサーチUKが行った分析調査報告書の共著者でもある、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン認知症リサーチ・センターのジョナサン・ショット教授は記者会見で、「アルツハイマー病の治療薬は、『もし入手可能になれば』ではなくて、『いつ入手可能になるか』という状況」だと説明し、アルツハイマー病が治療可能になる期待を語った。 一方でテレフラフによるとワクチンも開発されており、現在は臨床試験のフェーズ1と2にある。今回発表された報告書によると、このワクチンを使えば、アルツハイマー病の70%が予防できる可能性がある。そして将来的に、英国では50歳以上の人がアルツハイマー病のワクチン接種を受ける、という制度ができる可能性もあるようだ。 前述のデイリーメールによると、そのような制度ができた場合、年間94億ポンド(約1.4兆円)の経費が国民保健サービス(NHS)にかかってくる。しかし例えばワクチンで発症を最低3年遅らせることができれば、127億ポンド(約1.9兆円)の医療費削減が可能になるのだという。 患者数増加の一途をたどる現状に希望か アルツハイマーズ・リサーチUKのヒラリー・エバンス最高経営責任者が記者会見で述べたデータによると、2025年までに認知症になる人は英国で100万人を超えると見られている(テレグラフ)。 一方、世界中のアルツハイマー病関連組織の統括団体である国際アルツハイマー病協会によると、現在、世界では3秒に1人がアルツハイマー病を発症している。2015年の時点でアルツハイマー病を患っている人は世界で4680万人いたとされ、2017年には5000万人近くに増えたと推測されていた。さらに2030年には7500万人、2050年には1億3150万人に達すると予測されている。しかし治療薬やワクチンが使用可能になれば、こうした数字が大きく変わる可能性もあるということになる。 なお日本においては、内閣府が公表している2012年時点のデータによると、認知症高齢者数は462万人。厚生労働省によると、認知症患者のうちアルツハイマー型が最多となっている。

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外食は健康に悪い? 新たな理由も 米研究

  頻繁な外食は糖分や脂肪分取りすぎの原因になるだけでなく、有害性が指摘される化学物質「フタル酸」の摂取も大幅に増えるという研究結果が、このほど報告された。 フタル酸は香水やヘアスプレーなどのほか、食品の加工や包装に使われるプラスチックにも含まれ、先天性疾患や行動問題、肥満などとの関係が指摘されている。 28日の学術誌に発表された研究結果によると、レストランやカフェ、ファストフード店で前日に食事した人は、食品店で買った食品を食べたという人に比べて、フタル酸の値が35%も高いことが分かった。 論文を執筆したジョージワシントン大学のエイミー・ゾタ准教授によると、外食をした人は、包装用プラスチックと接触していた食品を通じてフタル酸を摂取したとみられる。 フタル酸の中でも、プラスチックを柔らかくするために添加される可塑剤は最も懸念が大きいという。可塑剤は食品の包装や、食品を扱う手袋などに使われている。 研究チームは、米疾病対策センターが2年ごとに実施している栄養摂取に関する調査で、2005~2014年にかけて収集した1万253人のデータを分析した。 包装用プラスチックと触れる食品を通じてフタル酸が体内に取り込まれるという その結果、3分の2は前の日に少なくとも1回、外食したと回答。外食した人は、年齢や性別を問わず、自宅で食事をした人に比べて尿に含まれるフタル酸代謝物の価が大幅に高いことが分かった。特に10代の若者の場合、外食した人のフタル酸の値は、55%も高かった。 ゾタ氏によると、特にチーズバーガーなどの持ち帰り用サンドイッチ類は、フタル酸上昇との関係が顕著だという。 ただし、フタル酸は約1日しか体内に残留しない。 ゾタ氏は、食生活を変えて自宅で調理した食品の消費を増やした方が、健康のためになると話している。

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整形で「デザイナー・ヴァギナ」を求める女性が急増

  <インスタに投稿する写真を加工する感覚で、ちょこちょこ美容整形を受ける人が増えている> 女性器の小陰唇や大陰唇の形やサイズを直す整形手術「ラビアプラスティー」の実施例がこの5年間で20%超増えたことが、米国美容外科学会(ASAPS)の調査で分かった。 年に1度のASAPSの調査によると、ラビアプラスティーはこの1年間に11%増えた。2012年と比べると217%超増えている。 2017年にアメリカで最も多かった美容外科手術は豊胸手術で、実施例は33万3392件。第2位は脂肪吸引で30万4850件、次いでまぶたの整形、胸のリフト、腹部の整形で、いずれも14万5000件前後。ラビアプラスティーは13万件超だ。 調査によれば、メスを入れない処置も含めると、美容外科医の25%が膣の整形を手掛けている。 背景には、いわゆる「デザイナー・ヴァギナ」、つまり理想的な膣を求める女性たちのニーズがある。 まぶたの整形や豊尻手術も増加 国際美容外科学会の2017年の報告によると、ラビアプラスティーは世界全体で爆発的にブームを呼び、2016年の実施例は前年比45%増を記録した。 2017年にアメリカで最も増えたのは、まぶたの整形で前年比26%増。次が豊尻手術で25%増、顔への脂肪移植とフェイスリフトは22%前後増え、首と上腕のリフトが20%増だった。 非外科的処置の実施例も増えている。ボトックスなどの「注入」処置は過去5年間で40.6%、2017年以降では5.1%増えた。ボトックス注射の実施例は150万件超に上り、しわ、しみ、にきび痕などを目立たなくするレーザー治療「マイクロアブレーティブ・スキン・リサーフェーシング」も急速に普及し、99.5%増加した。 アメリカでは美容整形を受ける人の大半は35〜50歳の白人だ。 ASAPSはこれまで耳鼻咽喉科医と皮膚科医も調査対象に含めていたが、今回の調査では対象を有資格の美容外科医に限定し、291人の医師の回答を集計して報告書をまとめた。 性器の悩みも話せる 美容整形のニーズの高まりについて、本誌はASAPSのクライド・イシイ会長に話を聞いた。 「いろいろな理由で処置を希望する患者が増えている。年齢差別がある職場で実力を認められたいとか、充実した気力体力に相応しい外見にしたい、あるいは単純に自分に自信を持ちたいといった理由だ」 ラビアプラスティーの爆発的増加について、美容外科医のジェニファー・ウォルデンは、人々の意識の変化が背景にあると本誌に語った。 「性器の外科手術や非外科的処置を望む人が増えたのは、ここ数年で性についての意識が大きく変わったからだ」 「小陰唇の肥大や妊娠後の膣の緩みなどによる性器の機能上や見た目の悩みを、女性たちも恥ずかしがらずに医師に相談できるようになってきた。医療技術も進歩して、メスを入れずに改善できるケースも増えた」 ミリ単位の微調整 性生活の充実も、医療が目指す健康的な生活の一部と考えられるようになったことも、ラビアプラスティーが社会的に受け入れられるようになった一因だと、ウォルデンは言う。 一方、ポルノやソーシャルメディアの影響で、性器の形状を過度に気にする女性が増えたことを懸念する専門家もいる。2017年にイギリスの医師がBBCニュースに語った事例では、11歳の少女が自分の「性器の形がおかしい」と訴えてきたこともあったという。 インスタグラムに投稿する写真を加工する感覚で、美容整形を受ける人が増えていると、美容外科医のラーラ・デブガンは本誌に語った。「これからはミリ単位の微調整が美容整形の主流になるだろう。写真の加工のように、ほとんど違いが分からないような微妙な施術で、より魅力的にできる」 デブガンも、若い世代は美容整形に対する抵抗がなく、気軽にクリニックを訪れるという。 「20代でボトックスを受けようと考え、30代でまぶたや胸の手術をして、40~50代でフェイスリフト、ネックリフトを検討する。そういう時代になりつつある」

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遺伝子改変ブタでヒトの臓器を提供

  <ゲノム編集で危険な遺伝子を除去――動物の内蔵が人体に移植される日は近い> アメリカでは毎年約3万人が臓器の移植手術を受けるが、ドナーの数はまだまだ足りない。臓器移植をコーディネートする米臓器分配ネットワーク(UNOS)によれば、移植の待機リストに載る患者が10分に1人のペースで増える一方で、リストに載った患者の20人が毎日亡くなっている。 数十年前から研究者は臓器不足を画期的な方法で打開しようとしてきた。人体に合うように哺乳類の内臓を改変するのだ。動物からヒトへの臓器移植(異種移植)が実現すれば、臓器の安定供給が可能になる。 異種移植ドナーの最有力候補は、臓器の大きさも生理的機能も人間に近いブタだ。ただし、そのまま移植するわけにはいかない。人間の免疫システムは、ほぼ確実にブタの臓器に拒絶反応を示す。さらに厄介なのは、ブタ固有のウイルスに感染するリスクだ。 ブタ内在性レトロウイルス(PERV)が人間に感染するかどうか、致死性があるかどうかはまだ分からない。だが移植手術を受ける患者は免疫抑制剤を投与されて抵抗力が低下するため、感染リスクは大きい。 この問題に、ハーバード大学医学大学院系列の研究チームが突破口を開いたようだ。チームが用いたのはゲノム編集技術「クリスパー・キャスナイン(CRISPR-Cas9)」だ。 バイオ企業eジェネシスの創業者で生物学者のルーハン・ヤンらの研究チームは、ゲノム編集で細胞株内のPERVを不活性化した。17年8月にサイエンス誌に発表された論文によれば、彼らはPERV遺伝子を不活性化した胚を代理母ブタに移植。胎児はウイルスに胎内感染することなく、史上初のPERVを持たない子ブタが生まれた。 「末期の臓器不全に苦しむ患者は大勢いる」と、eジェネシスの最高技術責任者を務めるヤンは言う。「異種移植で臓器を安定供給できるようになれば、彼らの命を救えるかもしれない」 糖尿病治療に期待が高まる クリスパーは特定の酵素を使ってDNAの断片を選択的に改変する技術で、例えば突然変異を引き起こす遺伝子の「エラー」を修正できる。12年に開発されて以来、研究者はこの技術を使って遺伝情報を改変してきた。 13年、ヤンの研究チームはクリスパーを使えば免疫システムを正確かつ効果的に改変できると論文で発表。15年にはブタの癌細胞株から62個のPERVを除去した。さらにPERVのゲノム編集を進め、ブタの臓器が人間の免疫系に適合可能であることを証明するのが次の目標だと、ヤンは語る。 異種移植の研究は小さなバイオ企業にとっても巨大製薬会社にとっても非常に危険な賭けであり、コスト的なリスクも大きいようだ。00年代初めに製薬大手ノバルティスは研究から撤退した。公衆衛生上の大事故を懸念した米食品医薬品局(FDA)が研究施設に規制をかけると、研究はさらに困難になった。だがクリスパーの登場で再び活性化していると、ヤンは言う。 PERVのない「遺伝子組み換えブタ」は膵臓や肝臓などの固形臓器に加え、ランゲルハンス島の供給源になるかもしれない。ランゲルハンス島は膵臓内に散在する細胞群で、インスリンを分泌する。糖尿病治療法としてのブタのランゲルハンス島移植に焦点を当てた予備的研究の成功例も既にいくつかある。 数年後には異種移植の臨床試験が始まると、米移植外科学会の次期会長でもあるウィスコンシン大学付属病院のディクソン・カウフマン医師は言う。「PERVの感染リスクを排除するなど、安全性が高まれば実現に近づく」 最初に移植される可能性が高いブタの固形臓器は腎臓と膵臓だと、カウフマンはみている。どちらも移植がうまくいかなくても患者が死ぬ危険は必ずしも大きくない。 生きているうちに移植が間に合いそうにないと患者に告げなければならない外科医にとって、テクノロジーの進化は朗報だ。患者の大半は異種移植を受け入れるはずだと、カウフマンは予想する。ブタの内臓を拒めば、確実に死が待っているのだから。

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人体で最大、新しい「器官」を発見? 米研究

  米ニューヨーク大学などの研究チームが、体内の「間質」と呼ばれる空間の構造と分布に関する詳細を研究し、「人体の新しい器官を発見した」として、27日の学術誌に論文を発表した。人体で最大の器官かもしれないとの見方も示しているが、この説に対して異論を唱える専門家もいる。 間質は、全身の組織と組織の間の液体で満たされた空間をさす。間質組織や間質液については従来から知られていたが、今回の研究では、これまで認識されていなかった人体の機能が解明されたとして、間質を「器官」と呼ぶことを提唱した。 「当初我々は、これを単なる間質組織と考えていた。だが器官とは何かという定義に踏み込むと、器官とは単一構造または単一構造をもつ組織、あるいは単一機能をもつ組織だという考え方に突き当たる」。ニューヨーク大学のニール・シース教授はそう解説し、間質はその両方に当てはまると指摘した。 「この構造はどこを見ても同じで、我々が解明し始めた機能も同じだった」と同教授は述べ、「これは皮膚よりも大きいと思う」と語る。 人体で最大の器官と考えられているのは、体重のおよそ16%を占める皮膚。だが間質の場合、シース教授の推定で体重の20%を占め、若者の身体では約10リットル分に相当する。 シース教授の研究チームは、共焦点レーザーエンドマイクロスコープと呼ばれる技術を使った高性能の顕微鏡で、ヒトの胆管の生きた健康な組織を調べた。組織のサンプルは、ニューヨーク市内の病院で膵臓(すいぞう)の手術を受けた患者13人から採取した。 組織を蛍光液に浸して詳しく観察したところ、液体がたまる部分に空間があることが判明。こうした組織はそれまで、顕微鏡で調べると脱水状態になって厚い層のように見えていた。間質は脱水のためにつぶれて、これまでは気付かれていなかったという。 間質空間が、がん細胞の転移を促す導管の役割を果たしている可能性もあるという 「生きた組織を共焦点レーザーエンドマイクロスコープ顕微鏡で観察することで、その空間が拡張され、液体で満たされていることがはっきりした」「一度見たものを忘れることはできない」(シース教授) 間質の真の機能や、体内のほかの部位への影響、「器官」と位置付けるかどうかの論議については、さらなる研究が必要とされる。 イエール大学のマイケル・ネサンソン教授は間質について、「それ自体が新しい器官なのではなく、さまざまな器官の間にある新しい部位だと考える」と話す。 今回の研究では、間質空間ががん細胞の拡散を助け、がんが体内で転移する導管の役割を果たしている可能性があることも分かった。間質液を調べれば、がんの診断に役立つかもしれないとシース教授は述べ、がんだけでなく、ほかの疾患や体内の機能に関する医師の考え方を変えさせる可能性もあると話している。

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冷凍保存で人間は不死身になれる?

  <医療の進歩を期待して「冷たい眠り」に就く患者たち――彼らの権利を守るための法整備が必要だ> 人体冷凍保存(クライオニクス)は、液体窒素を使って超低温で人体を冷凍する技術だ。現代の医療では治療不可能な病気にかかった人を、いずれ医療が進歩して蘇生する技術が完成した時点で解凍・治療しようというものだ。 最近は、遺伝子編集や人工細胞、ナノテクノロジーなどさまざまな分野で画期的な進歩が見られる。35~50年たてば、冷凍されている人々を蘇生させることができるのではないかと人体冷凍保存の専門家は考えている。 記者はかつて、米アリゾナ州にある人体冷凍保存施設のアルコー寿命延長財団を訪れた。施設内には、患者たちを冷凍保存する高さ2メートル余りのスチール製の装置が並んでいた。 「患者たち」と書いたのは、彼らは死んではいないと研究者たちが考えているからだ。「私たちは『緊急医学』を実践している」と、マックス・モアCEOはいう。「患者たちは死んではいない。もう死など存在しない。彼らは生き返る時を待っている」 16年には、癌で死亡したイギリスの14歳の少女が冷凍されたことが世界中で大きく報道され、人体冷凍保存を規制する法整備が必要だという声が高まった。少女はアメリカで冷凍保存されているが、イギリスで、いや、おそらく世界で初めて、人体冷凍保存に関する裁判事例となったことでも知られる。 少女と母親は冷凍保存を希望していたが、父親は望んでいなかった。ピーター・ジャクソン判事は死に瀕していた少女に面会し、冷凍保存によって長く生きる可能性を探りたいという希望を彼女自身から聞いた。少女は判事への手紙にこうつづった。 「私はまだ14歳です。死にたくありません。でも、死ぬのだと分かっています。冷凍保存してもらえば、治療を受け、目覚めるチャンスがあると思います。何百年も後かもしれませんが。地面の下に埋められるのは嫌です。私は生きたい。もっと長く生きたい。将来、私の癌を治療する方法が見つかるかもしれません。そのチャンスが欲しい。それが私の願いです」 少女が死ぬ前に、ジャクソンは冷凍保存を許可する判決を出した。少女の弁護士ゾーイ・フリートウッドはBBCラジオの番組で、彼女のような「非凡な人物」の裁判に関われたことは「とても光栄」だったと語った。 世界に人体冷凍保存を認める政策や法律は少なく、この判断は貴重な判例となった。カナダの一部やフランスでは人体冷凍保存は違法とされ、本人ではなく国が体についての権利を持つことになっている。 寿命延長に取り組むバイオテクノロジー企業シエラ・サイエンシズの社長で、人体冷凍保存を支持する生物学者ビル・アンドルーズは「21世紀の今、もっと長く生きたいと願う人々のために、人体冷凍保存が盛んになるよう法体系を整備する必要がある」と言う。 アルコー寿命延長財団によれば、人体冷凍保存には最低20万ドルかかる。莫大な金を投じて冷凍保存する意義があるのか、死者が再び生き返る日が本当に来るのかは誰にも分からない。 だが冷凍保存をするかどうかに限らず、自分の体について患者本人が決定権を持つことは重要だろう。冷凍保存はもう一度生きるチャンスを与えてくれるかもしれないのだから。

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Appleのティム・クックCEO、データプライバシーに関する規制強化を呼びかけ

  中国・北京で現在催されている中国発展高層フォーラムに参加中のAppleのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、ソーシャルメディアFacebookの個人データの不正流用を受けて、データプライバシーに関する規制強化の必要性を訴えました。 誰もアクセスできない個人データの領域が必要 ティム・クックCEOは中国のフォーラムで、ユーザーの知らないところで勝手に情報が組み合わされて、使用されるのを防ぐ、”精巧に作られた”規制が必要だと述べました。 データ分析企業のCambridge Analyticaが、5,000万人のFacebookユーザーのデータを不正流用していたことが内部告発により先週明らかになり、共同設立者のマーク・ザッカーバーグ氏は高まる非難への対応に追われています。Facebookの株価は14%急落しました。 クックCEOは、Facebookユーザーのデータ不正流用問題に関して以下のように語りました。 状況は非常に困窮しており、大きな問題となってしまったため、精巧に作られた規制が必要だろう。… …ユーザーの何年ものウェブ閲覧履歴や友人の一覧、好きなもの、嫌いなものなど、生活の中の個人的な情報に誰もがアクセスできるような能力は、存在するべきではないと私は思う。

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Samsung、ポケット内のスマホが勝手に充電される技術を開発中

  世に出回っているワイヤレス充電は正確に言えば、ワイヤレスではありません。たしかに充電ケーブルを必要としませんが、結局のところ充電パッドに縛り付けられているからです。しかし、Samsungが開発している、空中ごしに充電が可能な技術なら、本当の意味でケーブルから開放される時代が訪れるかも知れません。 Disneyなどと協力して開発 WIPO(世界知的所有権機関)が先日公開したSamsungの特許によると、同社はディズニーなどと協力し、エア・ワイヤレス充電とも呼べる次世代技術を開発しているそうです。これは、特定の範囲にあるデバイスであれば、たとえポケットにあろうと、空中ごしにワイヤレス充電してくれるというものです。 特許画像では、たとえ障害物が電波を遮りそうなところでも、リフレクターによって充電が可能となるメカニズムが示されています。なにぶん2016年に申請されたものなので、現段階ではSamsungがどの程度まで技術を開発しているのか、そもそも家庭用なのかといった点は不明ですが、ニュースサイトPhoneArenaは「3~5年以内に利用可能となるはずだ」と推測しています。 Appleも次世代ワイヤレス充電に前向き? こうした遠隔ワイヤレス充電を開発中なのは、Samsungに限りません。 たとえば、Appleとの提携関係が噂されるEnergousは、3フィート(約90センチ)の圏内であれば、複数のデバイスを同時に充電可能な技術「WattUp」の開発で知られています。昨年末には米連邦通信委員会(FCC)の認可も通ったと報じられただけに、iPhoneがポケットの中で勝手に充電される日が近い将来訪れるのでしょうか。

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【温泉】源泉掛け流し、実は超薄めてた? 浴槽の「濃さ」を測る方法

  温泉通であれば「源泉かけ流し」という点にこだわるという方は多いのではないでしょうか。しかし、日本全国の温泉を巡ってきたメルマガ『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』の著者で元大手旅行誌編集長の飯塚さんによると、一切加水していない宿や施設の方が少ないとのこと。そこで問題となるのが、新しい温泉の湯をどのくらいの割合で入れているのかということではないでしょうか。飯塚さんは自身のメルマガ内で、大まかな量を簡単に調べる方法を解説しています。 浴槽のおおまかな源泉注入量講座 今号では浴槽にどのくらい源泉が注がれているかの簡易測定法を伝授したい。 前号では、浴槽での源泉率を求める数式をご紹介したわけだが、その一例として、約100度の源泉を28度の真夏の水道水で冷ますと仮定した場合、源泉率は約17%くらいだと解説した。 こう書くと、ふうん、としか思わないかもしれないが、加水率83%と書くと「えらいこっちゃ!」と思うかもしれない。 なにしろ、湯船の中のお湯のうち、8割以上はタダの水、ということであるのだ。 行きつけの温泉はどうか、と計算するのが恐ろしくなりそうだが、加水する水が28度というのはかなり高めなので、沢水や湧き水などを利用していれば、もっと源泉率は上がるし、源泉温度が60度くらいなら同じく源泉率は上がる。 以上は加水している温泉の場合だが、源泉かけ流し温泉の場合で、毎日の換水清掃時の湯張り時だけ加水して温度を調節したのちは、一切加水せずに、高温の源泉注入量を調節して(つまり、注入量を絞って)温度管理をしている宿や施設が少なくないのはご存じの通りだ。 こういう場合、僕が問題にしているのは、新湯注入量が少なく(つまり「かけ流し」ならぬ「チョロ流し」状態)、しかも高温の新湯は浴槽の上部を通ってそのまま排出され、湯船底部の古い湯が入れ替わらない場合があるということである。 これについては拙著『温泉失格』でも詳述しており、また、文庫版のあとがきで、温泉ソムリエの遠間家元が、解決手段として「パスカルの穴」と呼ばれる排湯方法をご紹介しているので、ぜひ読んでみて欲しい。 この「パスカルの穴」方式で、浴槽底部の湯を優先的に排出するシステムでなくとも、いわゆるドバドバ系温泉のように、新湯注入量が圧倒的であれば、浴槽内の湯も効率よく入れ替わるともいえる。 そこで、源泉かけ流しの場合の新湯注入量を、おおまかでもいいから知りたい、ということになってくる。 これ、化学分析的なことを考えると到底面倒で現実的でないことになってしまうのだが、ま、ごくごくおおまかでもわかればいいや、ということであれば、実は、測定そのものはまことに単純で簡単な話になるのだ。 というわけで、実践測定の方法を伝授したい。 まず大きめのバケツや風呂桶を用意する。 一緒にストップウオッチも用意(腕時計のヤツで十分)。 そして源泉湯口で注入されている湯をバケツや桶に汲んで、満タンになる時間を測る。 たとえば、5リットルのバケツが満タンになるのに10秒かかったとする。 そうすると、単純計算で1分間に30リットルの新湯が注入されていることになる。 要するに毎分30リットルということである。 小学生でもわかる計算である。 もう一例。 2リットルの手桶が満タンになるのに1分かかるようなチョロ流しの場合は、単純に毎分2リットルということだ。 温泉ファンが歓喜するドバドバ泉などでは、2リットル程度の桶は1秒くらいで満タンになるから、毎分120リットルくらいということになる。 これを3回くらい繰り返して平均値を取れば、それほどものすごい誤差にはならない。 ただ、なるべく容量の大きいバケツを使った方が精度は上がる。 このやり方でわかるのは、「あくまでおおまかな数値」でしかないのは確かだが、おおまかでも、わかるか、わからないかでは雲泥の差があると思う。...

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トランプ氏、ファウチ氏を「ばか者」と酷評 コロナ禍軽視も根拠示さず

  米国のトランプ大統領が選挙陣営のスタッフへの電話で、新型コロナウイルス対策の陣頭指揮を執る米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長について、「ばか者」「最悪」と酷評していたことが20日までに分かった。このほか、国民はパンデミック(ウイルスの世界的な流行)の話を聞かされるのにうんざりしているとの見解も示した。 米国での新型コロナの死者数は21万5000人超に達している。 当該の電話は、遊説で滞在したラスベガスのホテルからかけたもの。その中でトランプ氏はいら立ちをあらわにした口調で、ファウチ氏をはじめとする保健衛生の当局者らを「ばか者」と非難し、米国はコロナ禍の災厄から脱却する準備ができていると明言した。ただ感染者数は現在再び増加しており、専門家らはこれから最悪の事態が訪れると警鐘を鳴らしている。 トランプ氏はまた根拠を示すことなく、仮にファウチ氏の言うことを聞いていれば米国で50万人以上が死んでいただろうと主張。米国民は新型コロナについて聞かされるのにうんざりしており、「いいから放っておいてくれ」という気分でいると語った。 続けてファウチ氏を「ナイスガイ」と評する一方、要職に就いている期間が極めて長いことにも言及した。 トランプ氏のアドバイザーの1人は、上記のコメントについて「賢明ではなかった」と指摘。大統領選まで2週間というタイミングでコロナ禍の話題に触れ、ファウチ氏を攻撃したことに懸念を表明した。 ファウチ氏は1984年から米国立アレルギー感染症研究所所長を務め、現在はホワイトハウス内の新型コロナ対策チームのメンバーでもある。トランプ氏が電話をかけていた同じころには全米医学アカデミーの主催する授賞式にオンラインで出席し、「反科学的な風潮」が社会の特定の領域に存在していることを危惧するスピーチを行っていた

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