米中が通商協議継続で合意 具体性を欠く共同声明に疑問の声も

Source: newsweekjapan

 

米中両政府は21日、先週17─18日に開いた通商協議の成果を評価し、双方が交渉での「勝利」を宣言した。

5月初めの第1回会合に続く2回目の米中通商協議では、両国政府は貿易戦争への突入を回避し、中国が米国の製品やサービスの輸入を大幅に増やすことで合意した。ただ、具体的な額や時期などの詳細はほとんど示されていない。また共同声明では、米国が中国に求めていた対米貿易黒字の2000億ドル削減への言及もなかった。

ムニューシン米財務長官は20日、テレビ番組で「(米中)貿易戦争を保留にする。関税措置をいったん保留にすることで合意した。一方、枠組みの執行は目指していく」と発言。

また、農業分野の中国向け輸出は今年だけでも35─40%増加し、エネルギー分野の輸出に関しては向こう3─5年で2倍になると述べ、公表はしないが業界別に特定の目標があると述べた。

今回の協議で最大かつ直接の恩恵を受けたのは中国とみられる。米国は知的財産権侵害などを理由に中国からの輸入品総額500億ドル相当に制裁関税を科すとしていたが、米国は関税導入を猶予した。また、トランプ米大統領は、米国の制裁によって存続の危機にある中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)<000063.SZ><0763.HK>の事業再開を支援する方針を表明している。

一方の米国は、今回の協議で中国側から米国からの輸入を拡大する約束を取りつけたが、詳細は詰められていない。

モルガン・スタンレーの試算では、米国が主に牛肉などの農産物と液化天然ガス(LNG)を中心とするエネルギーの中国向け輸出を拡大する場合、輸出額は数年間で600億─900億ドル増える可能性がある。ただ、これは米国が中国に要求する貿易黒字削減幅2000億ドルには程遠い。

トランプ米大統領は21日、中国が米国産農産物製品を「大量に」購入することに合意したとツイッターで発表したが、合意の具体的な内容には言及しなかった。

中国の国営英字紙チャイナ・デイリーは、緊張緩和に誰もが安どのため息をつくことができるとの社説を掲載。「(協議は)前向き、実際的、建設的、生産的」だったとの劉鶴副首相の発言を引用した。同紙は「あらゆるプレッシャーにもかかわらず、中国は折れなかった。断固たる態度で臨み、引き続き協議の意思を示した」とし、「米国が最終的にこの意思を共有したことは、一時は不可避とみられていた正面対決を双方がうまく回避したこと意味する」と指摘した。

今回、米国の貿易赤字削減に向けた合意を得るため、中国に知的財産権侵害の是正を求めて圧力をかける姿勢から転じたトランプ政権には疑問が投げかけられている。ZTEの制裁緩和についても不明なままだ。

ムニューシン財務長官は21日、ロス商務長官が来週中国を訪問し、米中両国が先週の通商協議で合意した大枠の最終化に向け協議すると発表した。ただ、最終合意には時間がかかるとみられている。

中国外務省の陸慷報道官は21日の定例会見で「中国は貿易やその他の分野において、米国との摩擦を望んでいない」と述べた。

中国市場における米企業に対する障壁の解消を求めていた一部の米業界団体は、今回のトランプ政権の対応に落胆している。在中国米商工会議所のトップを務めたジェームズ・ジマーマン氏は中国への制裁措置を猶予したトランプ政権の対応は時期尚早であり、米国の企業や従業員、消費者にとって「機会の喪失」を意味すると指摘。「中国側は、米国が具体的で意味のある譲歩を中国から引き出すことなく制裁から手を引いたと知って、ほくそ笑んでいる」と語った。

ゴールドマン・サックスはリサーチノートで、具体性を欠いた今回の共同声明について「中国側が通商協議を前進させる具体的な譲歩案を示したものの、他の部分を巡る意見調整が依然流動的なため、譲歩案を公表できなかったという可能性は排除しない」と指摘した。

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