米民主、20年大統領選は視界不良 亀裂抱え党の顔不在

Photo: nikkei

 

米中間選挙で8年ぶりに下院の過半数を奪回した野党・民主党はこの余勢を駆って2020年大統領選の勝利をめざす。ただ、現時点で抜きんでた候補は見当たらない。前回の大統領選で党内を二分した中道・穏健派と左派の路線対立もなお抱えており、先行きは視界不良だ。一方、再選をめざすトランプ大統領は人事刷新に踏み切る構えで、態勢立て直しを急ぐ。

「トランプ政権に対するチェック・アンド・バランスの機能を復活させる」。民主の下院トップ、ペロシ院内総務は6日夜、下院奪回を受けて支持者にこう強調した。民主は共和党のブッシュ(子)政権下の06年の中間選挙で、上下両院で過半数を奪還。2年後の大統領選でオバマ前大統領の勝利につなげた。その再来を狙う。

その道は決して平たんではない。1つは高い知名度を誇る「党の顔」の不在だ。08年大統領選はヒラリー・クリントン元国務長官や上院議員で頭角を現しつつあったオバマ氏を擁していた。ヒラリー氏は16年も再挑戦した。

現在、世論調査で名前が上位にあがるのはバイデン前副大統領、無所属のバーニー・サンダース上院議員らだ。いずれも大統領選に出馬経験があって全米で名を知られるが、両氏ともに過去の民主の指名候補争いで敗れている。70歳代の年齢も難点だ。

トランプ政権の移民政策や連邦最高裁判事の人事を巡る追及で、「女性版オバマ」の異名をとるカマラ・ハリス上院議員や、アフリカ系のコリー・ブッカー上院議員ら有望株も台頭しつつある。「今回の選挙は国の未来を決定づける機会となるものだ」。ハリス氏は6日夜、こうツイッターに投稿し、支持者を鼓舞したが、全米で通じる知名度とは言いがたい。

民主の新星オルーク氏は、今回の中間選挙で共和の牙城、南部テキサス州で流ちょうなスペイン語をしばしば交えた演説でヒスパニック(中南米系)を含め支持を拡大し注目を集めた。現職のクルーズ上院議員に肉薄したが、結局惜敗した。

党内の路線争いも悩みのタネだ。16年大統領選は主流派のヒラリー氏と左派のサンダース氏が党の指名を激しく争い、ヒラリー氏が勝利した後も禍根を残した。サンダース氏を支持した若者が「ヒラリー氏の支援には回らない」というケースも多かった。

左派は日本のような国民皆保険の導入や大学無償化、移民税関捜査局(ICE)廃止といったリベラル色の強い政策を訴えており、党主流の中道派とは一線を画す。「病的な嘘つきである大統領と戦っていこう」。上院で3選を果たしたサンダース氏は6日夜、支持者にこう宣言した。

アメリカン大のデビッド・バーカー教授は「バイデン氏のように中道色が強い候補でないと、支持が広がりにくい」と見方を示す。実際今回の選挙で、サンダース氏の支援を受けた候補の当選はニューヨーク州下院14区のオカシオコルテス氏ら一部にとどまり、フロリダ州やメリーランド州の知事選の候補らは相次ぎ敗北した。

ただ、民主内には「トランプ氏に対抗するには、こちらも極端な主張をぶつけるしかない」との声もくすぶる。

一方、トランプ氏は態勢立て直しのため、人事刷新に踏み切る方針だ。複数の閣僚らの交代が有力視される。筆頭格はかねてロシア疑惑への対応を公然と批判してきたセッションズ司法長官だ。ホワイトハウスはすでに後任の人選に着手した。ジンキ内務長官も職権を利用して個人的利益を得ようとした疑いがあり、交代説がくすぶる。

注目されるのはマティス国防長官の去就だ。トランプ氏とは米韓合同軍事演習やアフガニスタンやシリアの米軍駐留などを巡って隔たりがあり、トランプ氏もたびたび不快感を示しているとされる。国際協調を重視し、現実的な安全保障観を持つマティス氏は日本など同盟国からの信頼も厚いだけに、交代すればその影響は大きい。トランプ氏は週内に年末に辞任するヘイリー国連大使の後任人事も発表する。

ブッシュ(子)政権は06年の中間選挙で敗北を喫すると、その最大の原因となったイラク戦争を主導したラムズフェルド国防長官を交代させた。

Source :

nikkei

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