オリックス、腰据えてチーム強化と人気回復を

Source: nikkei

 

近鉄バファローズ―南海ホークス戦が再現された。OB戦ではない。現役選手による、れっきとした公式戦である。「関西クラシック」と銘打ったゴールデンウイークのイベントとして、オリックス―ソフトバンク戦で両軍が“先祖”の復刻ユニホームを着て戦ったのだ。

「いてまえ(やっちまえ)打線」を誇示していた当時の両袖が赤い近鉄のユニホームが京セラドームのグラウンドに踊った。岡本太郎がデザインした猛牛の球団旗もよみがえった。南海のグリーンが基調のユニホームも鮮やかだ。灰田勝彦が歌う球団歌も流れ、オールドファンを喜ばせた。

オリックスは2013年から、この時期に同じ催しを行っている。今年はソフトバンク戦のあとの西武戦でも、優勝争いの常連だったころの阪急ブレーブスの復刻ユニホームを着用した。元エース山田久志、世界の盗塁王福本豊が始球式に登場した。相手の西武も歩調を合わせて、日本一に何度も輝いた00年代初めのユニホームで臨んだ。

人気はずっと阪神の“一人勝ち”

かつて関西には4球団が存在した。セ・リーグの阪神、パ・リーグの南海、阪急、近鉄である。親会社がそろって電鉄会社だったので、関西球界は「電鉄リーグ」と呼ばれた。野球の成績は別として、人気はずっと阪神の“一人勝ち”。いろいろと複雑な経過があり、今では阪神と、阪急を譲り受けたオリックスの2球団が生き残っている。

これで適正な興行規模になったとみられたが、こと人気に関しては相変わらず阪神の独走状態だ。観客動員で苦闘するオリックスの姿は「行列のできる人気飲食店に隣接している同業者」に例えられる。チームづくりに工夫をこらし、涙ぐましい営業努力を重ねているが、甲子園の盛況に遠く及ばない。

阪神とオリックスとでは、メディアの扱いに大差がある。積年の差が積もり積もって、オリックスが阪神の人気に追いつき、追い越すには何十年もかかるほどの状態になった。阪神を取り巻く取材陣の数は米大リーグのニューヨーク・ヤンキースや欧州サッカーのレアル・マドリードなどをしのぐほどだ。

なにより寂しいのは阪急、近鉄OBの中で数少ない人気解説者の山田、福本、鈴木啓示、大石大二郎らが、阪神の試合ばかりに起用されていることだ。諸氏も後輩勢の動向が気にならぬことはないだろう。臨時コーチを務め、営業の催しに協力もしている。だが、メディアの需要が阪神に偏っていているので、個人の力ではどうしようもない。

メディアの責任ばかりではない。04年秋にオリックス・近鉄が統合して「オリックス・バファローズ」になった。だが、その時点でチームづくり、営業活動に不手際があり、「1+1」を2以上にする“統合メリット”を得ることができなかった。名将仰木彬の死去という不幸があったが、短期間に次々と監督を変えすぎた。神戸、大阪と本拠地が浮動したのも、人気が盛り上がらない一因となった。

しかし、このまま手をこまぬいているわけにはいかない。イチローの日本球界復帰はかなわなくなった。だが、それが決まるまでオリックスはずっとイチローの復帰を待ち望んでいた。44歳の超ベテランの力と人気をアテにする姿勢が、チームの飛躍を阻んでいたのではないか。

華も力もある若手を前面に

スター候補が育っていないわけではない。野手の吉田正尚、宗佑磨、投手のドラフト1位コンビ、山岡泰輔や田嶋大樹らは、球界を代表する選手になる可能性を秘めている。成績と人気は必ずしも一致しない。強い阪急が長年、観客の不入りに悩んだ前例がある。とはいえ、華も力もある若い選手を前面に押し出し、勝つチームづくりをしないことには道は開けない。

オリックスは1996年に「がんばろうKOBE」で日本一になって以来、21年間も優勝から遠ざかっている。そればかりか、最近10年間は2位が2度あるだけでBクラスの常連になった。今年も出足でつまずき、苦しい戦いを続けている。

阪神の大入りには、甲子園球場の魅力も寄与している。球団創設以来、そこに居座りファンを増やし続けてきた。親子3代にわたるファンが多いのは、老舗球団に共通した強みだ。オリックスも阪急時代から数えると阪神、巨人にひけを取らない球団史を持つ。だからといって、復刻ユニホームで古いファンを喜ばせるだけではいけない。現ユニホームをブランド化する、息の長い努力を続けなければなるまい。

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