地銀再編に「長崎モデル」 九州2行の統合承認

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公正取引委員会は24日、長崎県の親和銀行を傘下に置くふくおかフィナンシャルグループ(FG)と同県の十八銀行の統合を認めると発表した。これで両社の再編問題は2年半越しで決着した。独占禁止法上の問題を解消するために、融資先企業が競合金融機関から借り換えることで融資シェアを下げる今回の手法は、同じ県内にある地銀同士が統合する際のモデルケースとなりそうだ。

公取委の承認を受けて両社は同日、福岡市内で共同記者会見を開き、2019年4月に経営統合する方針を発表した。ふくおかFGの柴戸隆成社長は「今後の人口構造を考えると、今やらなければ地域の金融システムを維持できない」と統合の意義を改めて強調。そのうえで借り換えによるシェア引き下げを「苦渋の決断だった」と述べた。

両社が統合計画を発表したのは16年2月。当初は17年4月の統合を目指していた。ところが統合で長崎県内での中小企業向け融資のシェアが80%近くになり、利用者の選択肢が狭まることを公取委が問題視。両社は公取委が納得する解消措置を示せず、審査は長期化した。17年7月には無期延期に追い込まれていた。

審査の突破口となったのは、融資先企業に競合する金融機関に借り換えてもらう手法だ。佐賀銀行や長崎銀行など周辺の地銀、信用金庫やメガバンク、商工組合中央金庫など約20の金融機関が受け皿となり、貸出額で計1千億円弱相当を移す。これにより長崎県内での中小向け融資シェアは18年1月時点の約75%から約65%に下がる。

受け皿となる金融機関が長崎県内での営業体制の強化を表明していることもあり、公取委は「中小企業の選択肢は確保される」と判断した。

両社は統合後の地域での融資シェアが100%になる離島などで金利が不当に上がらないよう、第三者が監視する枠組みの導入もあわせて提示した。公取委は23日に最終意思決定を行う委員会を開き、内容を精査したうえで両社の統合計画を認めることを決めた。

こうした方式は今後の地銀再編の1つのモデルになる可能性がある。統合で地域の融資シェアが高まり、独禁法上の問題がある再編案に関して、公取委の深町正徳企業結合課長は「債権譲渡が問題解消策の柱となる」と指摘。そのうえで「今回の事例が先例になる」との考えを示した。

これまでの地銀再編は県境をまたぐ広域型や、競合が激しい都市部での再編が主体だった。ただマイナス金利政策や人口減少で地銀の苦境が強まるなか、重複店舗の統廃合など合理化の余地がより大きい県内同士の再編で「実」を取るニーズが強まっている。

県内首位と2位で融資シェアが80%近くになる長崎県は突出しているが、過疎地ほど市場の魅力は薄いため、県内勢のシェアは高くなりがちだ。

今後は長崎県での統合の行方を横目に再編を模索してきた他の地銀の動向が焦点になる。現在、岩手、富山など全国の13都府県で長崎と同じく県内に3行以上の地銀がひしめく。長崎での再編実現は「地銀にとっては選択肢が広がる」(金融庁幹部)ことになる。再編相手を県内に求める動きが広がる可能性がある。

一方、今回のケースは県内での融資シェアが高くなる統合では他の金融機関に債権を移し替えないと実現できないという先例にもなった。「ここまで汗をかかないと統合できないのか」と受け止める地銀関係者もいる。

Source :

nikkei

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