トヨタ、ルマン初優勝にもう一つの福音

Source: nikkei

 

トヨタ自動車が17日、フランス伝統の自動車耐久レースである「ルマン24時間」で初優勝を果たした。日本メーカーの優勝は1991年のマツダ以来、2度目。独ポルシェなどライバルが相次いで参加を見送るなか、トヨタはルマンをハイブリッド車(HV)の技術を磨く「実験場」として重視している。レースで培った最先端技術を市販車にフィードバックする狙いからだ。

「『思いっきり走ってくれてありがとう』。20回目の挑戦にして誰よりも長い距離を走ったドライバーたちみんなに、この言葉をおくります」。優勝を受け豊田章男社長はコメントを出した。

ルマンはトヨタが2012年から参戦する世界耐久選手権(WEC)の中で行われている。F1モナコ・グランプリやインディアナポリス500マイルと並ぶ「世界3大レース」の一つに数えられる。3人のドライバーが交代しながら1台を24時間運転して周回数を競い合い、トップ陣の走行距離は5千キロメートルを超える。

過酷なのは競技規定だけではない。ルマンを取り巻く環境が激変し、今年はWECの最上位クラス「LMP1」で戦う自動車メーカーはトヨタだけになってしまったからだ。独ポルシェなど、ライバルの欧州勢は相次いで戦いの場をWECから電気自動車(EV)レース「フォーミュラーE」に移行。「ライバルが不在の中で参戦する意義はあるのか」――。実際、トヨタでは昨シーズンにルマン撤退の議論も交わされていたという。それでも参戦を決めたのは、レースの極限状態で培ったHV技術を市販車の開発にも生かす狙いがあるためだ。

折しも、LMP1のルールが厳格化され、トヨタがHV車で勝つための技術的なハードルは上がっている。自動車メーカーが運営しない独立系チームがHV以外のエンジン車でも参加できるようになり、燃費で不利になりがちなエンジン車のハンディを埋めようと、HVより燃料を3割ほど多く供給できる。HV車で挑むトヨタがガソリン車に勝つには、どれだけ少ない燃料で高いパワーを出せるかがカギとなる。「レースエンジンも市販車のエンジンも開発の方向は同じ」(GRモータースポーツ開発部の小島正清部長)というわけだ。

すでにレースで培った技術は市販車に生かされている。トヨタは1月、「GRスーパースポーツコンセプト」を発表。WECに参戦するレーシングマシンとほぼ同等の内燃機関やハイブリッドシステムを積むスーパーカーとして将来、発売すること明らかにした。市販車を改良してスポーツカーをつくるのではなく、「現役のレーシングカーからスポーツカーをつくるというトヨタにとっては全く新しい挑戦」(友山茂樹副社長)だ。

トヨタは30年までにHVやEVなど電動車の販売を現状の3倍強にあたる550万台とする目標を掲げている。この中核を担うのトヨタが他の自動車メーカーより技術的に先行しているHVだ。レースで得た知見でさらに強みを磨けるか。WECの戦いはトヨタが企業としての競争力を高める場にもなっている。

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nikkei

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