新たな高度経済成長を突き動かす、「有名企業の信用」より「個人の信頼」

Source: newswitch

 

今から約50年前、高度経済成長期と言われる時代があった。GDPが右肩に上がり続け、ジャパン・アズ・ナンバーワンと世界から注目され、世界第二位の経済大国になったわけだが、もちろん若い人たちにとってはもはや歴史の世界の話で実感値はない。高度経済成長とは経済規模が飛躍的に継続して拡大することを指す。現代の日本もGDPは少しずつ拡大しているものの、普段の生活でそれを感じることはあまりないのが現状だ。

変わる価値観

「会社の売上はどんどん拡大し、社員の給料は毎年のように増え、昇進は年功序列、終身雇用の会社システムの中で忙しくも充実して働いていた。」といった当時を知る世代が話していることを聞いたことがある人も多いだろう。

そのような話を聞くたびに「現代は低成長時代で給料も上がらず、しかもこれから始まる急速な人口縮小社会を考えると少なくとも経済的希望は期待できない」ー。そう考えている若者は多いだろう。

マイナビが行った2018年入社の新入社員へのアンケートによると仕事よりもプライベートを優先したいと回答した人が63.2%となっており、仕事を優先したいと回答した人の36.7%に2倍近く差をつけた。これらの価値観の変化をみても、頑張って働いてたくさんの給料を稼ぐことに希望を持ってないといえるだろう。

しかし、実は日本は50年ぶりの高度経済成長期に突入しているのではないか。というより、世界中が同時高度経済成長期に入っている可能性が高い。

その経済は「個人の信頼評価経済」だ。経済というと一般的には貨幣経済を指すが、ほかにも自給経済、物々交換経済、貸し借り経済の4つが存在している。

それぞれの経済については「地方の人はなぜ残業しないのか」を参照いただくとして、これら4つの経済のうち自給経済以外の3つの経済において「信頼の有無」は経済活動を行なう中で大事な要素となる。

「信頼」と「信用」の違い

信頼と信用は似た言葉だが、信頼は「未来に対する期待」で、信用は「過去の積み重ねからできた実績」と言い換えられる。基本的には過去の積み重ねの延長線上に信頼がある。

例えば信頼できる相手と物々交換する時、眼の前の交換には納得がいかなくても、将来に返してくれることを期待し取引に応じるかも知れない。クレジットカードを作れるかどうかや与信枠も信頼(厳密には信用だが)の有無によって変わるし、信頼のある人であれば飲み屋でツケ払いにも対応してくれるだろう。

これまでは個人の信頼を数値化し評価する手段が無かった。一部、銀行やクレジットカード会社が過去の支払状況などから与信審査をしていたが、個人が初対面の相手の信頼を評価することは出来なかった。

だから信頼を評価しやすい法人が経済活動の主体となり、個人が法人に属して働く方法が一般的だった。法人であれば逃げも隠れも出来ないし、資本金や売上、株価、知名度などで評価することができる。

逆に初対面の個人はどこの誰かも分からず、何かあった時に逃げられる可能性もある。信頼性を確認するためにできることは共通の知り合いを探り、その人に確認してみるなど手段は限られていた(そして個人のバイアスがかかりやすかった)。

つまり、仕事をする相手を決める場合、個人は「信頼するまでのコスト」が法人よりも高くため、信頼性を評価しやすい法人が選ばれやすいという傾向があった。

しかし、現代においては個人の信頼性を評価するためのコストは著しく低下している。昨今はSNSが浸透したことにより、個人の信用がひと目に分かる時代になりつつある。

信頼評価値が低い人は多くお金を支払う

例えばフェイスブックを見ればつながっている友達、投稿内容、どういう人からどういうリアクションがあるのか、等々が分かる。民泊予約のプラットフォームを運営するエアビーアンドビーは宿の貸し手と借り手が互いに評価しあい、その結果が公開されている。

見ず知らずの人を家に泊めるというハードルの高い行為であっても、信用評価が可視化されることで、実現している。信用があればたとえ個人でも、銀行融資はもちろんクラウドファンディングなどの資金調達も可能で、大企業とも取引ができる時代が来るはずだ。

まさに信頼評価値の高い人は生きやすい世の中になるだろう。逆に信頼評価値が低い人はそれをカバーするために余計に貨幣を使わなければならなかったり、そもそも希望する取引ができなかったりする。

観光地でない田舎にぼったくりバーが無いのは地元人のネットワークが信用担保に直結しているからだ。もし、ボッタクリを一度でも行えばすぐに噂が広まりお客さんが来なくなる。

「田舎は優しい人が多い」と言われることがあるが、人に優しくしたほうが自分の信頼評価を守れるという(無意識にせよ)インセンティブが発生しているのかもしれない。

これまで、田舎などの小さいコミュニティーで担保されていた信頼評価経済がテクノロジーの発達により、全世界で機能することになるだろう。外国人でもその人の過去や友人、投稿内容など簡単に調べることができる。

このように個人の信頼評価の精度が向上し続けるなか、信頼性の高い有名企業に勤めていることや、公務員であることの価値は相対的に低下する。

これから急拡大する個人の信頼評価経済をうまく使って仕事をするのか、大企業や公務員という信頼評価の高い組織に属することでしか仕事ができないのか、個人の信頼評価経済の高度経済成長に入った現在、大きな分岐点にあるのかも知れない。貨幣経済の将来に悲観的で草食な若者も、信頼評価経済では肉食でガツガツ行ってみるのはいかがだろうか。

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