ドコモが自社契約者を「優遇しすぎない」理由 他社に比べて少ない「ドコモユーザー限定」

Source: infoseek

 

「ポイント会員を軸とした顧客基盤の拡大を本格的にスタートさせる」。NTTドコモの吉澤和弘社長は、4月27日の2017年度決算発表の場でそう宣言した。

これまでは携帯電話の回線契約をより重視してきたが、ほかの通信会社の契約者も含めて誰でも入れるポイント会員制度「dポイントクラブ」を重視する姿勢を明確にする。主力の携帯電話事業はKDDIやソフトバンクとの競争が激しい上に、2019年後半には楽天も本格参入する。そうした中でドコモは、競合各社が自社ユーザーを優遇する施策で解約を防ぎつつ新規開拓を狙うのを横目に、ポイント会員の拡大や、キャリアフリー(すべての携帯利用者がほぼ平等に使える)のサービスで一層の利用者増を目指す。

■ポイント経済圏を広げ、ビッグデータを強化

ドコモは昨今、高島屋、ローソン、マツモトキヨシなどと次々に提携し、dポイントを貯めたり使えたりする場を拡大している。5月からは、これまで「回線契約者」ベースにしていた顧客管理のデータシステムを「会員加入者」ベースへと変更し、提携先のビッグデータを収集・活用する取り組みを進めていく方針だ。ほかの通信キャリアを使うユーザーであっても、ドコモが展開する動画配信や電子書籍といったコンテンツのほか、dポイントの対象になるサービスを使ってもらいやすくする。

ドコモの吉澤社長は開かれたサービスを展開する理由として、「回線契約だと今、6000数百万人いるが、dポイントクラブの会員はそれにとどまらない。極端にいえば日本の人口まで伸ばせる。回線契約は必ずしも必要ない」と語った。dポイントクラブの会員数は現在6500万人ほどで回線契約者数とまだ大きな差はないが、今後の伸びしろへの期待は大きい。

携帯電話の回線契約は上積みがなかなか難しい状況だ。総務省の統計によれば、個人の複数回線契約や法人契約の増加で、スマートフォンなどの携帯電話の契約者数(2017年末)は1億6727万人と前年比で3.7%伸びてはいる。ただ人口減少の中でこうした需要が一巡すれば、天井に達する日は遠くない。「格安スマホ」とも呼ばれるMVNO(仮想移動体通信事業者)との争いもあり、2017年度のドコモブランドの契約者数は若干の増加にとどまった。

近年のドコモの戦略は他社と比べて、少し異質だった。ソフトバンクは同じグループのヤフーが展開するネット通販などで高いポイント還元を提供するなど、自社ユーザーを優遇する施策を実施。楽天は自社のサービスをたくさん使うほどポイント還元率を高くする「スーパーポイントアップ(SPU)」という仕組みを採る。来年始まる自社基地局によるMNO(移動体通信事業者)サービスでもSPUでユーザーの囲い込みを狙うとみられる。

KDDIのauでは、自社ユーザー限定サービスを多数展開している。音楽配信の「うたパス」や、コミックや雑誌などの電子書籍が読める「ブックパス」は、他の通信キャリアのユーザーは一切使えない。こうした各社の施策は、「自分たちだけ」というお得感を感じてもらえるほか、契約を継続させる狙いがある。

■視線の先には次世代通信「5G」

一方のドコモでは、露骨に自社ユーザーを優遇するサービスは少ない。英パフォームグループのスポーツ動画配信「DAZN(ダゾーン)」は、ドコモユーザーは月額980円(税抜き)、その他のユーザーは1750円(同)だが、これは日本で最大の携帯契約者数を持つドコモユーザーを深堀りしたいパフォームの意向があるため。大半のサービスは、あえて「キャリアフリー」を掲げている。

ドコモが今後一層の強化を図るというdポイントクラブでも、携帯電話の回線契約をはじめとするドコモのサービスを使うほどポイントの還元率が高くなる、といった優遇は少ない。こうした手法は囲い込みの力は弱い一方、ほかの通信会社のユーザーでも、不公平感を感じにくいということを意味している。

現在の4Gより通信速度が100倍以上になる次世代通信規格「5G」が、日本では2020年にも商用化される。5G時代には、動画配信などコンテンツ系のサービスをスマホで楽しむ流れが一段と加速しそうだ。加えて、スマート家電や自動運転など、携帯電話事業の外にも大きなビジネスが広がっていくとみられる。ドコモは回線契約にとらわれて、こうしたサービスの商機を狭めたくない考えだ。

ドコモのある幹部は、「携帯電話の回線領域は今後、顧客基盤が縮まることはあっても広がることはない。そうした中でどう戦うかを考える必要がある」と現状を分析し、「会員という考え方であれば、ほかの通信会社のユーザーも含めてつながっていける」と強調する。dポイントの会員基盤を起点に、回線以外のサービスの拡大に結び付けていきたい思惑がある。

海の向こうの米国では、携帯電話事業首位のベライゾン・コミュニケーションズが米ヤフーを買収し、同2位のAT&Tが米メディア大手、タイム・ワーナーの買収手続きの途上にある。”回線ファースト”を脱するドコモも、今後はコンテンツプロバイダーとしての色が強まるかもしれない。他方で、競争領域が業界の垣根を超えているからこそ、楽天のような囲い込みを重視する考え方もある。自社経済圏か、オープン戦略か。成否を決める戦いが始まろうとしている。

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